MicrosoftのAzure、AmazonのAWS、GoogleのGoogle Cloud Platform
これらがクラウドBIG 3と言われるような、大手IT企業のクラウド事業者(クラウドベンダー)です。
Google Cloud Platformが日本にデータセンターをもうすぐオープンということで、今回は数年前にアメリカにある大手IT企業(クラウドベンダー)のデータセンターを特別に見学させてもらった体験談
会社名は絶対に秘密です
今から数年前。これも詳しく書いてしまうと、個人や仕事など色々と特定されてしまって困るので、ぼやかします。
仕事でアメリカ出張があり、その際に某大手IT企業の米国本社を訪れました。
その滞在中に、クラウドサービスが実際に稼働しているデータセンターへ訪問する機会を得ました。日本人ではたぶん数人しか行ったことないようなところです。
というか、その会社の人でも滅多に行けないようなところ。
データセンターというのはIT企業にとって最高機密に近い、セキュリティレベルが最高レベルの施設です。
なので、その訪問したIT企業の名前も特定されないようにしますので、地域も隠させていただきます。
ただ、誰もが知っているような大手IT企業であり、最先端の技術を開発・運用して、クラウドサービスを提供している会社です。
データセンターのロケーション
訪問したデータセンターへの道のりは結構遠くて大変でした。
なぜなら、その会社の本社がある大きな都市から、車で片道3時間以上!
フリーウェイをひたすら走り、まだ雪が残るような山を超え、砂漠というか荒野のようなところを抜けたかと思えば、霧が立ちこめる大きな河の渓谷にかかる橋を渡ったり、など景色が何回も変わるような旅でした。さすがアメリカ。広過ぎる。
そうしてようやく着いたのが、周囲は農場しかないような田舎町。
え!?マジでこんなところにデータセンターがあるの?
しかも寒々しいだけじゃなくて、本当に寒い!
事前に色々と聞いていて調べてはいましたが、予想以上に田舎でした。
ただ、この田舎町、実はデータセンター街道というか、データセンターの街として有名なのです。
複数社の大手IT企業のデータセンターがいくつも集まっているのです。
そのため、データセンターで働くための雇用も増え、人口も増えたとか。
で、なんでこんな田舎町に、そんなにデータセンターが集まるのか?
理由はいくつかあります。
- 近くに昔、空軍基地があったため、重要で太いネットワークバックボーンが通っている
- 寒い。気温が低い。つまり、サーバーの自然冷気での冷却に向いている
- データセンターが集まることにより、人材の流動性が高まった。データセンターで働く人の雇用が容易
- 優遇税制がある
- 安い電力が調達できる。近くに大きな河があるので、そこからの水力発電
- ハイウェイが通っているので物流も良い
こんなところです。「近く」と言っても、アメリカ規模での「近く」という表現なので、日本のイメージとは違いますが、とにかくアメリカ的には「近く」に良い条件が揃っていて良い場所なのです。
あと、アメリカのデータセンターで良く聞く話が税金と安い電力(電気代)ですね。
ここら辺の要素だけでも、費用が大きく変わります。
大きな河やダムがある州は、電気代が安いためデータセンターには有利です。
施設に入るまで
さて、お目当てのデータセンターに着くと、いかにもアメリカの施設というかテレビとかで見るようなセキュリティ体制です。
敷地内への入り口には大きな金網で囲まれたゲートがあり、インターホンのようなものでやり取りすると自動で開き、ようやく車が入れます。
日本にある都市型データセンターとは大違い。
そして、社員の方の案内で建物内の受付に入ると、小さなロビーが。
そこで、パスポートなどを回収されます。もしパスポートを忘れたら、これ以上先には進めません。
それから当然ですが、誓約書にサインします。もちろん英語ですが、結構厳しい言葉が並んでいました。
ここは本当に民間施設なの?政府の施設じゃないの?ってくらいの厳しさ。
もちろん、数週間前くらいに事前に色々と申請もしてあります。突然行って入れるようなことろではありません。
セキュリティの警備員もいかにもアメリカな感じの屈強なガタイの良い方々で、威圧感満載です。
ここは刑務所ですか!?
いよいよ施設内へ潜入開始。とにかくアメリカだから実現できる規模
入館許可が下りるとようやく内部へ。
我々はゲストということで、まずは特別に会議室へ案内され、そこでお昼のお弁当を頂きました。
いかにもアメリカ、という感じのサンドウィッチでした。ターキー美味。
コーラとかドリンクも飲み放題です。よくあるランチの形式で、ここら辺は安定のアメリカ的な嬉しいサービスです。
ランチを食べつつ、軽くブリーフィングやQ&Aセッションをした後に、いよいよデータセンター内部へ潜入開始。
アテンダントの方(現場の責任者、所長みたいな人らしい)と共にデータセンターツアーです。
まずメインの建物に入ると・・・、でかい。とにかくでかい。
イメージ通りというか、噂通りというか、まっすぐな長い廊下で端から端まで見えないかも、ってくらい。
直線で数百メートルあるとか。
そして、そこを颯爽とキックボードで走るラフな格好の若者。マジで事前にネットの記事とかで見たことある光景!さすがアメリカ。
これだけ長い直線の廊下があったら、そりゃキックボード使うよね。歩いていたら大変だもんね。
とにかく、いちいちすべてのスケールがでかいのです。
一番びっくりしたスケールのでかい話としては、サーバは個別に交換せずにラックごと交換するらしい。で、そのラック交換をどうするかと言うと、フォークリフトですることがあるそうです。
いやー、つくづく日本じゃ信じられない規模。
そんな巨大なデータセンター内部にある大量のサーバやストレージ、ネットワーク機器を色々と見させていただきました。
当時最先端に近いデータセンターということもあって、標準化というかコモディティ化が進んでいて、特別な機器を使っているというよりは、大量の安価な汎用サーバがびっしり詰まって並んでいる、という感じでした。
他にはサーバルームだけでなく、巨大なディーゼル発電の非常用電源装置や、コンテナ型のデータセンターも見たり。
寒い地域なので、コンテナは屋外にポンと置いてあるだけですからね。日本じゃなかなか実現できないだろうなー、とつくづく思う作りでした。
あと、やっぱり働いている人たちと環境がアメリカらしくて面白い。
日本じゃスーツ着た人たちもしくは、作業着を着た人たちがデータセンターにいるのが通常かもですが、アメリカではとにかくラフですね。
そこら辺にいるような兄ちゃん、姉ちゃん達が箱の上に腰掛けてガム噛みながら作業していたり。
厳重なセキュリティレベルなのに、働いている人たちがカジュアルな雰囲気というこのギャップがいいですね。
アメリカのそういった働き方は良いなーと思いますが、一方で雇用条件が良いかと言われれば厳しい面も多々あるので、難しいところですね。
Googleさん、データセンター見学に招待して!
本当はもっと細かく色々と書きたいところですが、守秘義務で守るべきものがあり書くと抹殺されかねないので、ここら辺で。
とにかく、大変貴重な機会を得て、アメリカの本場の最先端のデータセンターを見ることが出来たの私は大変ラッキーでした。
Google Cloud Platformさん、日本リージョンのデータセンター出来たら見学に招待してくれませんか?守秘義務は絶対に守りますので。
まぁほぼ絶対無理だとは思いますが。
コメント